BIBIO レビュー :
unicco さん

/ 2005-04-22 22:52
大人の絵本 と銘打っている通り、サイレントの魅力を威風堂々発揮しつつ、ぜんぜんやさしくない視点で子供になりきれる映画。ピュアで残酷。圧倒的にやさしくない小津視点。
子供社会は狭いから大変なんです、逃げ場がまったくない。生きていくためには親や場から絶対的に逃れられない。
子供は善良だと思い込んでいる親とのディスコミュニケーションっぷりも圧巻。「昔はよかった、ガキ大将がいて」などとのたまうお年寄りに見せてやりたい。
自分の中の類似作品としてはリリィシュシュのすべてがあります。
Amazon.co.jp レビュー :

(
4.5 点 / 2 人)
サイレント第一作目にはこれ!?

/ 2003-06-10
小津安二郎監督のサイレントの最高傑作の一つだと思います。サイレント映画を観たことがない方なら、この映画から観てみてはいかがでしょう?時代の風刺をこれほどまでにユーモアを交えて描けるのは小津監督のほかにはチャップリンとジョン・ヴィゴぐらいでしょう!
白樺派の世界

/ 2007-11-25
小津シネマとしてだけでなく、サイレント邦画の傑作に数えられる名編。音は当然なく、台詞の映像も最小限だが、全く違和感なく90分見れてしまう計算され尽くした映像が味わえる。
サラリーマンという「階級」の大人と子供それぞれの悲哀を扱った重い現実はタイトル通りだが、少年だったことのある人間なら頷いてしまう「世界の見え方」が新鮮で、その驚きが冷たいテーマを中和してくれる。そして、何の解決もない日常の描写に始まり終わるストーリーなのに、なぜか陰惨で暗い後心地はなく、ほのかに温かくすらある。それは映写機を通して「世界」を見る/見せる小津の視線が、少年の視線と時折被りながら、優しく「世界」を見ているからだ。(でも、この心地よさは「現実」の解決・克服を延期してしまう厄介なものだったりするのだが。)
映写機の上映会のシーンは、映画屋が大人になっても持ち続けてる「少年時代の映画への驚きと憧れ」が感じられて微笑ましい。こういう私的なシーンも組み込みながら、リアリズムとヒューマニズムを絶妙にブレンドして提示するあたり、本当に上手く撮られた映画だと思う。
上に挙げた幾つかの要素は、(厄介な部分も含め)まさに小説における白樺派に共通する要素だったりするし、実際、小津は志賀直哉に傾倒していたと言われるが、80年代からこっち、小津を誉めつつ白樺派をけなす批評家がなぜか沢山いる。だけど、それはやっぱり矛盾してると思うんだよなあ。
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